クロマトグラフィーは1903年5月、ワルシャワの自然科学学会でロシアの植物学者ツヴェート(Tswett)が葉緑素などの植物色素(クロロフィルa,b)の吸着分離に用いたカラムクロマトグラフィーについて発表したのが最初であるといわれている。
クロマトグラフィ−は大きな面積を有する固定相(カラムに固定されています)と、これに接して流れる移動相との間に分離すべき成分を分配させる物理的方法です。分析に使用する試料は均一(気体もしくは液体)である必要があります。
抽出百分率(抽出率,%)をE, wo:有機相に抽出された目的成分、w:試料水中の全目的成分とすると
したがって分配比は系の中で起こっている化学変化に大きく作用される。
バッチ抽出
抽出をn回行う場合、n回後に水相に残っている溶質の量をwnとすると
2相の容積が等しく、分配比が1の場合を考えます。一連の抽出管0,1,2,3,・・・rを用い、管L0に溶質1gを溶かしているとする。溶媒を入れた管U0をその上におき平衡になるまで振り混ぜる。2相が分離したら上層を動かしてU0をL1の上に、U1をL1の上に持ってくる。溶質の量は上下合わせて1gとなる。2回目以降も同様な操作を繰り返す。分液ロートでの分離を何回も繰り返すことと同じです。
溶媒を入れた抽出管 水相を入れた抽出管
クロマトグライーではこの向流分配を連続的に行って分離をしているとみなすことができます。
分液ロートで何回も分配を行った場合の成分の分布の様子を考えてみます。エクセルより分液漏斗による分画と二項分布を表してみます。移動相の確率のところにその割合(たとえば0.4とか)を入れて表示させてください。
参考:
クロマトグラフィーは
保持時間(Retention Time)と保持容量(Retention Volume)
tr=tR0{1+K(Vs/Vm)}
ピークの分離度
段数と分離度
カラム効率
1つのカラムを多段の分配系と考え、その中で試料が各段の分配平衡を行いながらキャリヤーによって移動させられていくと考える。W=4σとして、この考えにより得られる分配系の段数を理論段数といい
ピークの広がる原因
充填カラム
カラムに粒子状の充填剤を詰めて使用する充填カラムの場合
理論段数相当高さ(Height Equivalent to a Theoretical Plate,HETP 単位mm)
uをキャリヤーの線速度、Lをカラム長(m)、nを理論段数とすると
クロマトグラフィー(Chromatography)はchromato(色)とgraphy(記録法)を連結した造語です。中国では「色譜」と呼ばれているようです。音の変化を記したものを楽譜と呼んでいるので対比するとおもしろいでしょう。
クロマトで以下の3種の用語が良く用いられています。
クロマトグラフ(Chromatograph):固定相と移動相との親和性の差を利用して物質を分離する装置 つまり機械のこと
クロマトグラフィー(Chromatography):固定相と移動相との親和性の差を利用して物質を分離する方法 手法です
クロマトグラム(Chromatogram):クロマトグラフィーの結果得られる分離像 プリントアウトされる分離の結果ですね

クロマトグラフィーでの分離の原理は溶媒抽出法での向流分配を基にしています。
分離すべき成分がインジェクターと呼ばれる試料挿入口から移動相(キャリアー)に添加され、移動相に乗って移動していきます。テーマパークに良くある様な小川の流れにのって小舟が移動していく様を想像して下さい。さて挿入された試料が固定相との間に二相間分配(気体と固体、気体と液体、液体と液体、液体と固体等)が起こり、吸脱着、イオン交換等の相互作用を経て分離されていきます。溶媒抽出法
相互に混りあわない2種類の溶媒(solvent)に溶質(solute)を加えて攪拌し、平衡に達すると両相に分配される溶質の比は温度、溶質、溶媒を定めると一定となります。
通常使用される系として水-有機溶媒間の溶質の分配が良く用いられます。
E(%) = (wo/w)x100 となります。
また分配比をD、Voを有機相の体積、Vwを水相の体積とする。Cs,oを有機相中の溶質sの濃度、Cs,wを水相中の溶質sの濃度とすると
D ≡ Cs,o/Cs,w =
溶質SがS1,S2,S3,・・・という化学種で存在する場合は
Cs,o = [S1]o + [S2]o
+ [S3]o + ・・・
Cs,w = [S1]w + [S2]w
+ [S3]w + ・・・
分配定数をKDとすると KD = [S1]o/[S1]w と定義され、1つの化学種S1が有機相と水相の間に分配する場合の平衡定数となる。
であり、
となり、
となる。
向流分配(counter-current distribution)
向流分配は分配比が接近している化合物、特に有機化合物の分別抽出に有効です。
分配比がDの場合は平衡に達してから上層にある溶質量pは次の式で表される。
また下層にある溶質量Yは
Y=1-p
二項定理を適用して分配比Dについて展開すると
が成立する。
n回の移し変えを行った後のr番目の管にある部分Tn,rは

離散一様分布 k個の整数の集合I={n+1,n+2,….,n+k}に対し
を仮定するのを離散一様分布という。例えばさいころの目の出方はn=0,K=6の離散一様分布となります。
二項分布 有限個の非負整数の集合 I={0,1,2,3,….,n}に対する確率モデル
を二項分布という。
:n個の要素からx個の要素を取り出す組み合わせの数
但し0!=1
エクセルの関数BINOMDIST(全回数中のn回目, 全回数, 移動相の分配の割合, FALSE)を使って計算できる。
二項分布でnが大きくなると正規分布で表しても良い。二項分布のパラメーターを増やすと正規分布で近似できるようになる。
確率変数Xが(試行数n、成功率100 × p%)の2項分布に従うときnが十分大きければXの分布は平均np、分散がnp(1-p)であるN(np,np(1-p))の正規分布で近似できる。N>30であれば十分である。
正規分布の確率密度関数は
と表される。
等に分類されます。
分離が分配によって行われるものを例にとり、分配係数をK、キャリヤーがカラムを通過する時間をtR0,
カラムの有効単位体積中に固定相の占める容積をVs,、移動相の占める容積をVmとする。ある特定の成分がカラムを通過する時間をtr(保持時間)とすると
trとキャリヤー流量の積を保持容量といい、Vrと表します。
上のクロマトグラムでの2つのピークの分離度は
と表すことができる。

の式で表現することができる。この式はキャリヤーの量とピークの広がりが基になっている。ピークが鋭ければ分離が良好だが、カラムの移動中に起こる成分の拡散によりピークが広がってくる。
二成分のピーク分離度をR、理論段数をN、二成分の保持比をα、分配比をkとすると
と表される。
例えばα=1.05、k=10、N=8500でR=1となりピークのそれぞれの裾が約2%重なる程度の分離が得られる。R=1.5以上では二つのピークはほぼ分離される。
渦流拡散:充填剤をカラムに充填する際の充填状態による乱流が原因である。
分子拡散:分子の三次元方向への自由な運動の内、キャリヤーガスの流れる方向での運動による広がりによる拡散
平衡の時間的遅れ:分離すべき物質の二相間分配での移動速度は有限であり、平衡に時間的遅れが生じることによりピークが広がる。
HETPは渦流拡散の項A
分子拡散の項B/u
物質移動速度の有限による項 C・u
の3つの項によって表され H = A + B/u + C・u また H = 1000(L/n)
と表され、流速uとHETPの関係式から最適条件
が存在することがわかる。