放射線分析計 環境放射能

環境中に存在する放射線・放射能の量を計測するには放射化学に関する基礎知識が必要となる。まず基礎知識を習得したうえで計測法を学ぶ。

放射線及び放射能に関する基礎知識

放射線と物質との相互作用

α線:α線は原子核から放出されるHeの原子核He2+である。α線は重い粒子で物質中で進路をまげることは少なく、β線に比べても透過力は小さい。空気中の飛程(Rcm)とエネルギー(EMeV)の間の関係は
R = 0.323E3/2 と表される。
例えば1MeVのα線で3.2mm、5MeVのエネルギーをもったα線でも3.6cmの空気層で停止してしまう。
226Ra(ラジウム)から放出されるα線は4.777MeVの エネルギ−を有しますがこれは速度1.5x107m/sで、 気体の運動の式から0℃で1.3x103m/sとなり、なんと1万倍の高速 です。こんな高速の粒子ですがわずか3cmの空気の層で止まってしまいます。そのため α線の測定を行うときは検出器に至るまでの空気層のによる減衰を考慮する必要があります。でも人体に対する影響はX線やγ線の20倍程度もあります。

β線:β線は原子核から放出される高速の電子の流れで、β線のエネルギーは単一ではなく最大エネルギーEmaxだけが核種に固有な値となる。β線の最大飛程(R,gcm-2)と最大エネルギー(Emax,Mev)の間の関係(Featherの式)は
R = 0.542Emax - 0.133  (但しEmax > 0.8MeV)
R = 0.407Emax1.38 (但し0.8>Emax > 0.15MeV) 1MeVのβ線が水の中を進む場合、最大飛程は3.8mm、5Mevの場合で2.6cmとなる。
空気中の飛程は(R cm, E MeVで) R=0.323 E(3/2)
2MeVのβ線は約1g/cm2のアルミニウムで遮蔽されます。アルミニウムは 密度が2.7g/cm3ですから、約3.7mm厚のアルミニウム板でOKです。水の場合は約1cmとなります.

制動放射 β線が金属等と相互作用をして急速にエネルギーを失う際、X線を放出します。これはレントゲン管などで用いられているX発生の原理と同じで、加速度運動をする電子から電磁波が出る原理とも同じです(電子シンクロトロン放射光など)。そのため重金属等でβ線を遮蔽するとこの制動X線の発生がおこり、遮蔽の目的からはよくありません。密度の低い水やプラスティック、金属の場合はAlなどが適しています。空気中でも距離をとるとβ線の遮蔽は可能で、制動X線の発生を考える必要はありません。

γ線:γ線は励起状態の原子核から放出される短波長の電磁波である。γ線やX線などの電磁波は物質中を通過する時エネルギーを失って減衰し、消滅する。入射及び透過γ線の強度をI0,Iとすると
I = I0e-μd で表される。ここで厚さを面積質量(gcm-2)で表すとμの単位はcm2g-1で、質量吸収係数と呼ばれ、吸収層の厚みをcmで表した場合は(線)吸収係数と呼ばれ単位はcm-1となる。質量吸収係数は線吸収係数をその物質の密度で除したもの。
γ線と物質との相互作用は低エネルギーでは光電効果(物質が光を吸収した際に物質内部の電子が励起され電子が飛び出したり、光伝導や光起電力が現れること)、中エネルギーではコンプトン効果(X線などが物質の電子によって散乱され、波長が長波長側に変化する現象)、高エネルギーでは電子対生成(物質にγ線線があたった際、電子と陽電子が生成する現象)が大きく寄与している。γ線の遮蔽60Co γ線 1.173MeV,1.333MeVを鉛で遮蔽する場合半価層(半分の強度になる厚さ)は1.3cm、1/10価層は4.2cm、鉄を使った場合は2.6cmと7.7cm、コンクリートなら8.7cmと25.3cmとなる. 1.33MeVのγ線の遮蔽には(1/1000にするとして)12cm程度の鉛が必要です。

放射線を計測する場合、気体や固体、液体との相互作用を利用して計測を行う。電磁波放射線(γ線線、X線)や荷電粒子(α線、β線)等の放射線は物質との相互作用でイオン対(電子と陽イオン等)を生成させる。この1対の正負イオンを作るのに必要なエネルギーをW値といい、気体では気体の種類によらずほぼ一定の35eV前後である。
カーマ(KERMA:Kinetic Energy of particles Released in MAterial):光子(X線やγ線)や中性子などの非荷電粒子が物質にエネルギーを与える場合、第一段階では相互作用により電子や荷電粒子のエネルギーへ移行する。次いでその荷電粒子が物質にエネルギーを与える。カーマKはこの第1段階に着目した量で、非荷電性の放射線のみに適用されます。単位はグレイ(Gy) =J/kg。K=dEtr/dm dEtrは微小な質量dmの物質中で放射線によって叩き出されたすべての荷電粒子の運動エネルギーの合計です。単位はGyです。Gyは1kgの物質が1Jのエネルギーを吸収した場合の吸収線量。
カーマを記す場合は対象物質を明記します。照射線量はこれらのX線やγ線が空気と相互作用する時に定義されています。照射線量XはdQ/dmでdQは微小な質量dmの空気から叩き出されたすべての電子が空気中で止まるまでに生成する電子-イオン対の全電荷量(正負いずれか)で、単位はC/kgです。照射線量をイオン対を作る平均エネルギーW値(1KeV 以上の電子では34eV、陽子やα粒子なら35eV)を用いて吸収線量に変換できる。空気カーマの場合は照射線量に代わり用いられています。

表 放射線の検出方法と検出器
検出方法検出器名主な測定対象放射線
電離作用を利用するもの気体電離箱α線、β線、γ線
GM計数管α線(マイカ膜のもの)、β線、γ線
比例計数管中性子線
ガスフロー型計数管α線、β線
固体半導体検出器α線、γ(X)線
励起作用(蛍光)を利用する物NaI(Tl)シンチレーション検出器γ線サーベイメータ用
CsI(Tl)シンチレーション検出器γ線 個人被ばく線量用
ZnS(Ag)シンチレーション検出器α線用サーベイメータ
プラスチックシンチレーション検出器β線
熱蛍光線量計(TLD)γ(X)線
蛍光ガラス線量計γ(X)線、β線、中性子線
写真作用を利用するものフィルムバッジγ(X)線、β線、中性子線
*)NaI(Tl):タリウム活性化ヨウ化ナトリウム、本文中ではNaIと略している

ZnS(Ag):銀活性化硫化亜鉛、ZnSと略記

気体との相互作用を利用して計測

 

気体との相互作用でできる電離イオンを元に測定するのが電離箱やGM,比例計数管である。左図に生じた電離イオンを捕らえるために加えられた電圧と生じるパルス電流の関係を示す。

1.電離箱
○ローリツェン検電器
  水晶の糸に金メッキしたものに帯電させ、電位をかけた導線を対立させると電荷の反発により水晶糸が開く。この状態で外部から放射線が入ると生成イオンによる中和で水晶糸が元に戻ってくる。この移動を顕微鏡で観察して放射線の強さを求める。
この機構を小型にして簡易なポケット線量計に用いられていた。チャージャーで荷電し、放射線による電離により針が動いていく量をレンズで読みとる。
最近のポケット線量計はシリコン半導体(フォトダイオード)やCsI(Tl)シンチレ―タ―等を使用し、線量がデジタル表示されるものが普及し、多くの製品が出ている。USBを介してPCにデータを読み取ること可能なものも有る。シリコン半導体のセンサーは検出効率が悪いため個人の被ばく積算量を得るために用いられている。

○直流電離箱
電圧のかかった電極を用意し、電極間を放射線によるイオン対が運ぶ電流を測定することで放射線量を測定するのが電離箱である。電離箱は検出効率が低いが、良いエネルギー特性を持つ。

  ○パルス電離箱
上記の直流電離箱での電流測定とは異なり、イオン対による脈動電位を測定する方法がパルス電離箱である。

2.計数管

 電離箱では電離イオンの非常に微小な電流を扱い、感度の問題が生じる。計数管は増幅機能を持つパルス電離箱という位置付けができる。計数管では電極間に1kV程度の電位をかけ、放射線によって生じたイオン対を加速する。質量の大きい陽イオンはゆっくり移動し、質量の小さい電子は細い線でできた陽極に移動する。陽極の周りの強い電場に加速されて高い運動エネルギーをもった電子は周りの気体を電離し、2次的に生じた電子が3次、4次と電離を引き起こす。この連鎖的電離を気体増幅という。

○比例計数管
気体増幅率が102から104で、入射放射線のエネルギーに比例したパルスが得られることから比例計数管と呼ばれる。比例計数管ではPRガス(Ar90%,CH410%の混合ガス)と呼ばれる気体を使っている。
○ガスフロー型比例計数管
測定試料室内にPRガスを流しながら電離イオンを計測する方法もある。低エネルギーのβ線は空気層により遮蔽され検出器で検出されない.この場合測定室内に試料を導入し測定を行う。

○GM(Geiger-Muller)計数管
印加する電圧をさらに上げていくともはや入射放射線のエネルギーとパルス高との比例関係が成り立たなくなる。この領域をGM領域とよばれパルスの個数を計測することになる。入射放射線のエネルギーはわからないが特別の増幅器を要しない利点がある。1つのパルスを計測した後、原状に復帰するまでの時間(再測定できるまでの時間)を要するので104cps以上の計測では数え落としが生ずる欠点がある。いわゆるガイガーカウンターがこれである。
。ガイガー計数管ではパルスと入射した放射線エネルギーとの相関がないのでスペクトロメトリーやエネルギー補償型の線量計として用いることはできない。ガイガーカウンターを放射線計測器の一般名称として使う例がみられるが、間違いである。

固体との相互作用を利用して計測

気体の電離を利用する電離箱にγ線のように電離能の小さい放射線が入射した場合、限られた気体層で電離が起こる可能性が小さくなる。そのため気体の代わりに半導体や固体シンチレーターが用いられる。

3.半導体検出器(γ線スペクトロメトリー)

半導体検出器に放射線が入射した時生成される正孔(陽イオン)と電子を高電圧をかけて検出する。得られたパルスは多チャンネル波高分析器(マルチチャンネルスペクトルアナライザー)によりX線またはγ線の各波長(エネルギー)における強度として解析される。波長から核種の定性が、放射線強度から定量が行える。シンチレーション検出器を用いたスペクトロメトリーよりも分解能が良いのが特徴である。
用いる半導体としてGe(Li)や高純度型Ge検出器、Si(Li)、Si検出器がある。Ge(Li)検出器は常時液体窒素で冷却する必要があり、最近は使用されていない。Ge型検出器とSi(Li)型検出器を比較するとGe型検出器の方が分解能に優れるが低エネルギー領域(特に3KeV以下)の測定ではK吸収端の問題やスペクトルの乱れからSi(Li)型の方が優れる。
高純度ゲルマニウムを用いた検出器の例を左に示す。この検出器は測定時に液体窒素で冷却する必要があり、Cryostat Dewar(低温保持装置、低温槽)容器を備えていて、検出器の部分を冷却しています。
デュワー瓶:液体窒素や液体ヘリウムを入れて、低温を保つ装置で、熱の流入を防ぐために、真空や銀メッキで外部と遮断してあります。大きな魔法瓶と考えていただければ良いでしょう。

最近は常温で容易に測定でき、小型でも検出効率が高い検出器が製品化され、低電圧で低消費電力であることから個人線量計に数多く採用されている。

4.シンチレーション検出器

放射線により原子や分子が励起状態となり、その励起状態から基底状態に戻る時に光を発する(蛍光)がある。この蛍光を測定することで放射線量を測定するのがシンチレーション検出器である。蛍光体は吸収エネルギーにほぼ比例した蛍光として放出する透明な物質である。無機物質ではNaI(Tl)タリウムを微量含んだヨウ化ナトリウム結晶が広く用いられている。この検出器のエネルギー分解能は半導体型検出器(Ge等に比べて1/50程度)に比べて良くない。シンチレ―タ―としてCsI(Tl)、CdTeやプラスティックシンチレ―タ―も用いられている。

液体との相互作用を利用して計測

5.液体シンチレーション検出器
蛍光体として例えばトルエンにp-テルフェニル,ジフェニルオキサゾール(PPO)などを溶解した液体シンチレータ−が用いられる。バイアル瓶に入れた液体シンチレーターに測定する試料を混和することで低エネルギーのβ線の計測も可能となる。液体に溶解した低エネルギーのβ線はシンチレータと衝突して光を放出する.この光をホトマルチプライヤー等で検出することで測定を行う。

6.チェレンコフ光による測定:光の速度は真空中で最大となり、真空中で物質がこの速度を超すことはできない。しかし光が物質を透過する時、その速度は真空中に比べて遅くなる。ある媒体の光の屈折率をnとするとその媒体中の光の速度(v)はv=c/nとなる。例えば水はn=1.3334(20℃)である。水中では光速はかなり遅くなる。この中に光速に近い荷電粒子が入射すると光を発する。ニュートリノにより散乱された電子によりチェレンコフ光が観察されるので、この方法でニュートリノの計測がなされている。原子炉からでる光速に近い荷電粒子から発する青い光もチェレンコフ光である。

個人被ばく線量の測定
線量計による測定
 蛍光ガラス線量計、OSL線量計、熱ルミネッセンス線量計、固体飛跡検出器、電子式(Si検出器、CsI(Tl)シンチレ―タ―、小型GM管等)個人線量計、DIS線量計、フイルムバッジ等がある。
等価線量:同一の吸収線量でも放射線の種類・エネルギーにより人体に対する影響は異なってくる。そのため組織・臓器にわたって平均し、線質について加重した吸収線量として等価線量を定義する。HTRwRDTRとなる。ここでHTは等価線量、wRは放射線加重係数(光子、電子の場合は1)、DTRは吸収線量です。
実効線量:E=ΣwTHT wTは組織・臓器Tの組織加重係数です。この実効線量は人体の各臓器・組織の平均線量の加重和として算出される。しかしこの値を直接測定することはできないので、ICRUが計測のための実用量を定めている。
実用量は線量当量を用いて定義され、単位はSvである。内部被ばく線量も直接測定することはできない。実用量には場のモリタニングのための周辺線量当量H*(d))、方向性線量当量H'(d、Ω)や個人線量計による個人モリタニングのための個人線量当量Hp(d)がある。場のモニタリングと個人モニタリングを区別している理由は、個人線量計は人体に着用することによる人体による遮蔽の影響が伴うが、サーベイメータを用いる場のモニタリングでは人体の影響を考える必要がない。場のモニタリングに2種類ある理由は、透過性の強いガンマ線等は方向依存性の少ない測定器での測定が可能であるが、X線やβ線では薄膜を有した測定器で特定の方向の放射線しか測定できない()ことに関わっている。
1cm線量当量とは外部被ばくによる実効線量を測定・評価するための量を意味し、ICRUの実用量との対応では、組織等価物質の深さ1cm(実効線量の測定・評価に用いる)で指定される周辺線量等量 H*(10)と個人線量等量Hp(10)の総称である。 空間線量の測定では1cm線量当量(率)H*(10)を用いる。但し70μ線量当量(率)が1cm線量当量(率)の10倍を超える恐れがある場合は70μ線量当量(率)H'(0.07,Ω)である。

周辺線量等量H*(10)と個人線量等量Hp(10)の換算
周辺線量等量H*(10)では人体を模擬したファントムは直径30cmの球、と個人線量等量Hp(10)では30x30x15cmの直方体の中の深さ10mmの線量当量であり、光子エネルギーが約200kev以上では線量換算係数はほぼ一定となる。これよりエネルギーが下がると遮蔽効果により値が小さくなる。このそれぞれのエネルギー依存性を持っているものがサーベーメータ、個人線量計の理想的エネルギー特性となる。サーベイメータで測定すべき基準線量の決定のための直径30cmのICRU球ファントムはプラスチックファントム、元素組成:O:76.2%、C:11.1%、H:10.1%、N:2.6% 密度1。ICRUスラブファントム(プラスチックファントム)も同様。この様に周辺線量等量H*(10)と個人線量等量Hp(10)における線量には違いがあり、個人線量計を周辺線量計にそのまま流用することは原則としてできない。
X・γ線に対する空気カーマから実用量への換算係数図を示す(放射線の安全管理の実際より引用)。この図より約200kev以上のエネルギーをもつγ線の測定ではH*(10)とHp(10)の間に大きな差は出ないので両線量計の間に大きな違いが存在するわけではない。その点を知った上で使用することは可能である。

主なx線・γ線用サーベイメータ
種類エネルギー範囲線量当量範囲その他
電離箱式サーベイメータ30KeV-2MeV1μSv/h-100mSv/h検出効率は低い、エネルギーレスポンスはフラット
GM管サーベイメータ50KeV-2MeV0.3-300μSv/h検出効率は良い、エネルギー補正が必要
シンチレーション式サーベイメータ50KeV-3Mev0.1-30μSv/h検出効率は高い、エネルギー補正が必要
半導体式サーベイメータ50KeV-3MeV1μSv/h-100mSv/hPD等を使用するものは検出効率が低い
バックグラウンドレベルの低線量測定にはシンチレーション式の測定器が適している。高線量の場では電離箱式が適している。検出効率の悪いサーベーメータで測定する場合、計測数の平方根の誤差があることから長時間の測定が必要となり、リアルタイムの空間線量モニターには適さない。

測定される放射線量は点放射線源からでは距離の2乗に反比例する。 μ

X線及びγ線のスペクトロメトリー

放射線のスペクトルを得る方法としてエネルギー分散型スペクトロメーター(Energy Dispersive X-ray Spectrometer,EDX)と波長分散型(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer,WDX)がある。
波長分散型はX線を分光結晶により分光しこれにゴニオメーター(分散系という)を連動させて特定の波長のX線を計測するもので、分解能の低いシンチレーション検出器や比例計数管を用いて測定しても高い波長分解能を得ることができる。スペクトルを得るためには分光結晶の回転を必要とし、同時に測定することはできない。
エネルギー分散型スペクトロメーターは検出器に分解能の優れた半導体検出器を用いることにより分散系を必要とせず(非分散系)小型化が可能でスペクトルが同時に観測できる特徴を持ち、分散系が無いことで検出器を試料に近づけて測定できることから高感度を得ることができる特徴を持つ。入射したX線やγ線のスペクトルを得るために波高分析器(マルチチャンネルパルスハイトアナライザー)を使用する。このことより蛍光X線のエネルギー分散型分析ではSi(Li)型半導体検出器が用いられる。パルス電離箱、比例計数管、シンチレーション検出器も放射線エネルギーに応じた波高のパルスを電気信号として取り出すことができ、波高解析器(Pulse Height Analyzer,PHA)にかけることでエネルギー別の強度を知ることができるが分解能は良くない。

多重波高解析器(Multichannel Pulse Height Analyzer)

半導体検出器からのパルス波形をADコンバーター(Analog Digital Converter)を用いてデジタル化し、波高をエネルギー毎に記録してγ線のエネルギー分布を測定できる。 4048、8096、16192等のチャンネルによりエネルギー分解を行う。エネルギー校正により特定のチャンネルとγ線のエネルギーを対応することができる。このことよりある特定のエネルギーをもつ核種の同定と放射線量を知ることができる。
パルス波高(エネルギー)lとhとの間(ΔE)の間にエネルギーが存在する放射線量を測定する事でエネルギースペクトルを知ることが可能になる。

環境中で良く見られるγ線(X線)の種類とエネルギー

高感度の半導体検出器と波高分析器を用いて環境中の放射線、特にγ線(X線)を測定すると下記の核種から出る放射線が検出される。
Isotope Energy(KeV) Isotope Energy(KeV)
U x-rays 13.0,13.3 137Cs 661.6
231U 25.6 214Bi 727.2
137Cs 31.8,32.2,36.4 234mPa 766.6
210Pb 46.5 228Ac 911.0
234Th 63.3 228Ac 969.0
234Th 92.6 234mPa 1001.0
235U,226Ra 185.7,186.2 214Bi 1120.3
212Pb 238.6 60Co 1173.0
214Pb 295.2 214Bi 1238.0
214Pb 351.9 60Co 1332.5
宇宙線 511.0 40K 1460.8
208Tl 583.1 214Bi 1764.5
214Bi 609.3 208Tl 2614.5
赤字のエネルギーは低エネルギー仕様の検出器でのみ検出

環境中で測定される放射能は238U及び232Th系列の核種が主であり、系列を作らない40Kや陽電子の崩壊による放射線、核実験等による核分裂生成物が見られる。

放射線計測時の統計誤差

放射線測定時の統計誤差は測定カウント数をNとするとその平方根となる。測定誤差を1%以内にするとすれば10000カウントの測定が必要となる。周辺線量当量H*(d))や個人線量当量Hp(d)の測定時、放射線の計数を計数効率を考慮し(エネルギー効率も必要)、Svの単位に換算しているが一定時間(時定数)の放射線のカウント数が少ないと誤差が大きくなることに注意する必要がある。検出効率が低い検出器では測定時間内のカウント数量から大きな誤差が生まれる。測定誤差を10%以内にするためには時間内の測定が100カウント以上必要である。誤差が大きい場合は測定時間を増すまたは時定数を大きくする。または測定回数を増やすなどの工夫が必要である。

核原料物質、核燃料物質の届出と許可

使用の届出を要する核原料物質 ウラン又はトリウムの放射能の濃度、数量が下の値をどちらも超える場合
・ 放射能の濃度 74Bq/g (固体状:370Bq/g)
・ 数量 ウランの量×3 + トリウムの量 = 900g

使用の許可を要する核燃料物質
・ 天然及び劣化ウラン及びその化合物 300gを超える数量
・ 濃縮ウラン すべて規制対象
・ トリウム 及びその化合物 900gを超える数量

放射性廃棄物問題参考HP

日本アイソトープ協会  はかるくん

放射線医学総合研究所Q&A
環境放射能
原子力発電環境整備機構

電気事業連合会

資源エネルギー庁放射性廃棄物HP

核燃料サイクル開発機構

原子力資料情報室